2016年9月2日金曜日

QUAD44とプリアンプ考



プリアンプが必要か否か、と言う事が騒がれた頃があった。少しでも増幅回路を多く通すことで音が劣化するというのである。ならば音量調節はアッテネータとかフェダーでやろうという訳で、クソ高いフェダーを使ったこともあった。確かに音の鮮度は上がる。しかし、音楽としての佇まいにはどうも欠ける。ではアッテネータではどうか?まあ、やはり同じ傾向にある。仲間が寄り合ってオーディオ店の店先で、ああでも無い、こうでも無いと侃々諤々とやったものである。まあ、一昔前の話ですが詰まるところ、音の鮮度を重視する派と音楽性を重視する派に分かれていたのであります。どっちが良いという問題でも無いのだが、これをどうにも許せない一部の御仁達が絶対こうだと言い張ってお互いカンカンガクガクになる。僕はどちらにも属さず両方の言い分を聞いていた記憶がある。一番困ったのは当の店主であった。僕もまだ30歳代で盛んな頃でありました。僕はどちらかと言うとプリアンプ派なのだが、問題は惚れたプリアンプに巡り会えない事(懐が寂しかったと言う事もあり)を理由にして専ら自作品を使っていた。しかし、長年やってきて年も重ねると、細かい所よりもジンと心に響く音楽が欲しくなってくる。幸いQUAD44と言う名機に出会って決して音の鮮度は高くないが、マッタリと音楽に浸かる幸せを知った。なかなかの回り道であったがそれも楽しい想い出である。

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