2020年3月5日木曜日

取り敢えず日本画の岩絵具



方針転換したものの、どんなことから書いたらよいのかなぁと思っています。日本画と言うと墨絵ですか?と聞かれる事も多く『はっ?』と思う様に一般にはこんな事も知られていないのかと思う事も多いです。ご存知のお方は何だそんな事と思われるかもしれないですが、日本画で使う岩絵具というのは、不透明絵具と透明絵具の両方の性質を持っています。岩絵具は本来様々な石を砕いて絵の具にしてありますので、絵の具の粒子そのものは不透明なものです。しかし、細かく砕いた石を画面にバラバラと撒くのと同じ様に筆を使って塗って行くわけですから、当然その隙間から下の紙の部分が見えています。ですから目にはその絵の具の色と紙の色が混色して見えます。これだと都合が悪いので更に別の絵の具を重ねて行きます。すると紙の部分は少し見えなくなって新しい絵の具が隙間を埋めます。それを重ねて行く事で次第に紙の部分が見えなくなって行きます。丁度、河原が色々な小石で埋め尽くされるのと同じで、窪んだところに絵の具が嵌ります。つまり、上から重ね塗っても前に塗った絵の具が消えることは無く、ちゃんと表面に表れています。ですから、以前に塗った絵の具の色と次々塗り重ねた絵の具の色が混色して見えます。と言うことは逆に考えると、一度塗った絵の具はなかなか消えない(消せない)と言うことです。
ですから、草稿の段階で十二分に検討し、更に出来上がりのイメージを創り、どう仕上げて行くのかと言う事をその時に決めます。早く描きたいと言う一心から草稿を適当にして取りかかると中々仕上がらないと言う事になるのです。ですから日本画の草稿というのは単なる下絵ではないのです。

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